高齢者とペットの問題...
高齢者とペットの問題 近年は高齢化社会となっており、4人に1人が65歳以上という超高齢化社会になっています。ま...
- 生前整理
- 2016.08.10
認知症など判断能力が衰えてしまった方に代わって支援、保護をする成年後見制度。
今回は、どのようなときに成年後見制度が活用されるのか、よくあるケースをみていきたいと思います。
【目次】
1.一人暮らしをしている高齢の親が、認知症になり介護施設に入ることになったので、住んでいた家を売却(処分)したいというケース
2.亡くなった父の遺産を認知症の母が相続することになったケース
3.一人暮らしをしている高齢の親が、詐欺被害に遭ってしまったケース
4.高齢になり、体も弱ってきて日常生活や将来に不安を感じているケース
1.一人暮らしをしている高齢の親が、認知症になり介護施設に入ることになったので、住んでいた家を売却(処分)したいというケース
成年後見人が選任されたら、本人(被後見人)が所有していた不動産はどのように扱われるのでしょう。
本人自身が所有していた不動産に住んでいたので、その不動産は『居住用不動産』となります。
成年後見人が、居住用不動産を売却するなど、居住用不動産の処分をする場合には、事前に家庭裁判所に『居住不動産処分許可』の申し立てをし、許可を得る必要があります。
本人の介護のための現金が必要であったり、本人が居住用不動産に戻る見込みがない場合は、居住用不動産の売却処分は比較的許可されやすいようです。
この他にも、居住用不動産の処分として、第三者への賃貸、使用貸借(無償で誰かに貸す)、家屋の取り壊し、抵当権の設定などがありますが、これらの行為をする場合にも家庭裁判所の『居住用不動産処分許可』が必要となります。
2.亡くなった父の遺産を認知症の母が相続することになったケース
相続人が認知症で判断能力がないため、遺産分割の場面で自身の意思表示をすることができません。
この場合、本人の代わりに遺産分割協議に参加してもらうため法定後見制度を利用する必要があります。
本人(被後見人)の親族が亡くなり、遺言書がない場合は遺産分割協議が必要となり、相続人である本人に代わって後見人が遺産分割協議に参加します。
ただし、後見人自身も相続人の一人である場合には、注意が必要です。後見人自身の相続人としての立場と、本人の後見人としての立場とで相続人関する利害が対立してしまうおそれがあるからです。
後見監督人等(後見監督人、保佐監督人、補助監督人)が選任されている場合は、後見監督人等が本人に代わって遺産分割に参加します。
しかし、後見監督人等が選任されていない場合は、原則として家庭裁判所において『特別代理人』を選任してもらう必要があります。選任された特別代理人が本人に代わって遺産分割に参加することになります。
3.一人暮らしをしている高齢の親が、詐欺被害に遭ってしまったケース
高齢者は、詐欺のターゲットにされやすいため、後見制度を利用することで悪質な詐欺による被害を防止することができます。
高齢の親が、騙されて高額な着物や健康食品などを買わされてしまった・・・。
このような場合も、法定後見人が選任されていた場合は、後見人によってそれらの行為の取り消しをすることができます。
取り消すことによって、後見人は本人の権利を守ることができます。
しかし、任意後見人にはこの取り消し権がないので注意が必要です。
4.高齢になり、体も弱ってきて日常生活や将来に不安を感じているケース
今は、日常生活を送る上で判断能力の衰えもなく、生活できている状態でも高齢になるにつれて、いつ認知症になるかもわからない、入院するようなことになるかも分からない不安を抱えて過ごすようになります。
安心した将来を迎えるため、任意後見制度を賢く利用するというのも一つの選択肢です。
また任意後見制度の他にも、今はまだ財産の管理や福祉サービスの利用契約等を自分で行うことができるだけの能力がある場合は、補助という制度を利用することも可能です。
これは、認知症、知的障害、精神障害など精神上のの障害により、物事を判断する能力が不十分であるとして、自分の能力に不安を感じている人達が、家庭裁判所に財産管理等を行う援助者である補助人の選任を求めるという制度です。
後見や保佐とは異なり、判断能力が欠けているわけでも著しく劣っているわけでもない人達が利用する制度であるため、この手続きの開始には本人の同意が必ず必要とされています。
そして、申し立ての範囲内で家庭裁判所が定める特定の法律行為について、本人が同意した場合には、補助人に同意権や代理権を与えることができます。しかも補助人の同意が必要とされた行為について、本人が補助人の同意を得ないでした行為は、取り消すこともできます。
このように補助では、本人が必要と考える行為に限定して、補助人に同意権や代理権を付与することになります。
人は誰もが高齢になるにつれ、身体能力や判断能力が衰えていくものです。もし、自分や身近な人が認知症になったら・・・
日々の生活はどうなるのか、金銭管理等は誰に任せたらよいのか。
成年後見制度を上手く活用することで、そういった不安が解消されますように。
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