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- 2023.05.20
昨今『ゴミ屋敷』や『孤独死』などが増えている背景の一つとして『セルフネグレクト』が関係しているケースも少なくありません。
業者にゴミ屋敷等の片付けを依頼する人の中にもネグレクトやセルフネグレクトに苦しんでいる人も多いといわれています。
このネグレクト、セルフネグレクトとは何なのでしょうか?
また、解決する方法はあるのでしょうか?
〇ネグレクト・セルフネグレクトとは
ネグレクトとは、『無視をする』『世話を怠る』という意味の言葉です。『親やケア提供者などによる世話の放棄』ということになりますが、セルフネグレクトは、なんらかの事由によって、普通の生活を維持するために必要なさまざまなことを行う意欲や能力を失ってしまい、自身の健全な生活や身の回りの安全を損なってしまうこと、そこに至るまでの行為のことを指します。
具体的には、いわゆるゴミ屋敷や多頭飼育(多数の動物の放し飼い)などによる極端な家屋の不衛生、本人の著しく不潔な状態、医療やサービスの繰り返しの拒否などにより、健康に悪影響を及ぼすような状態に陥ることをいいます。食事や水分を摂取するなどを怠れば生命に関わり死に至ることもあります。
一つの例をいえば、一人で極端に不衛生なゴミ屋敷に住んでいる場合は、自分の世話を放棄していることになるのでセルフネグレクトに該当するでしょう。
〇セルフネグレクトの原因
セルフネグレクトの原因として主に下記の原因が考えられます。
・身体機能の低下
・精神的な不安・精神疾患
・判断力の低下
・経済的な苦しさ
・コミュニケーション不足
・社会からの孤立
・環境の変化 など
これらのいくつかが影響しあい、ネグレクト、セルフネグレクトに陥っている人もいます。
加齢や病気によって身体機能が低下すると、セルフネグレクトになりやすいとされています。
ゴミ出し一つにしても、身体の不自由な人にとっては一苦労です。日々の何気ない家事が面倒に感じ、最終的にはネグレクト状態になってしまう人も多くいます。
精神的な不安やプレッシャー、精神疾患などからセルフネグレクトになる場合もあります。
よく見られるのが、高齢者の認知症や若年層のうつ病です。加齢や仕事、人間関係のストレスなどが影響し、精神が不安定になると普段はできる片付けもできなくなってしまいます。
加齢や疲労、ストレスなどから判断力が低下し、セルフネグレクトに陥る人もいます。
脳が正常に判断できなくなることで、普段は難なくできていた片付けやゴミ出しも面倒になってしまいます。また、異常なほど物が増えたり、部屋が汚れたりしても何も感じなくなってしまいます。
経済的な苦しさからネグレクトになる人も少なくありません。
日々余裕のない生活を送っていると、いつの間にか自分のことも疎かになってしまいがちです。また、貧困から物を捨てる恐怖心が生まれ、ゴミ屋敷を作ってしまう人もいます。
周囲とのコミュニケーション不足がセルフネグレクトの要因になるケースもあります。
人を家に呼ぶことも人と関わることもなくなれば、自分の身なりや生活スタイルを正す必要もなくなります。
人と自分を比べることもなくなり、いつの間にかセルフネグレクト状態になり、家がゴミ屋敷になることもあります。
退職や失業など、社会との接点がなくなることもセルフネグレクトの一因と考えられます。
特に今まで仕事や育児、ご近所付き合いなど何らかの形で社会とかかわりを持ってきた人は、気持ちが塞ぎ込みやすいでしょう。
引っ越し、転職、失業、離婚といった環境の変化が原因になることもあります。
環境の変化は人に強いストレスを与えるため、精神疾患やセルフネグレクトの引き金になってしまいかねないのです。
※セルフネグレクトに陥った人は自分の命の危機にも気づけない場合があります。
そのため病気が悪化したり、最悪の場合そのまま病死したり、餓死してしまったりすることもあります。
また、セルフネグレクト状態にある人のゴミ屋敷は悪化する一方です。近隣トラブルの発展だけでなく、相続人にも迷惑がかかるでしょう。子どもに対するネグレクトにもなりかねません。
ゴミ屋敷に住んでいる子どもは喘息にかかりやすくなったり、アレルギーを発症しやすくなったりと様々な弊害があります。
〇セルフネグレクトの解消法
では、セルフネグレクトを解消する方法はあるのでしょうか
・本人の気持ちを聞いて、周囲が理解し寄り添う。
・自治体の支援を活用する。
・適切な治療を受ける
・生活環境を改善する。
ネグレクト状態を本人だけでどうにかするということは、不可能に近いことです。
周囲の支援も活用しながら徐々に改善していく必要があります。
セルフネグレクトの場合、人や社会との繋がりを頑なに拒んでいるケースがよく見られます。中には「誰も自分を理解してくれない」「自分を認めてくれない」といった思いが根底にあることも少なくありません。また、片付けないといけないとは分かっているのに、片づけられないのには理由があるはずなのです。周囲の者が、そのような背景を理解し、どうして今の状況に陥ってしまったのか、サポートを受け入れることはできるのかといったことを話し合い寄り添うことで、心を開いてくれることもあります。
自治体の支援を活用するのもよいでしょう。
例えば認知症で片付けができない場合は、最寄りの地域包括支援センターに相談しましょう。必要に応じて訪問介護やデイケアといった支援事業を紹介してもらえます。
また、育児がつらくネグレクト状態になっている場合は、各地の保健センターや子育て支援センターに相談できます。
親としての悩みを聞いてもらえるほか、必要な助成制度や支援を紹介してもらえます。
セルフネグレクトの背景には精神的な疾患があるケースが多数あります。
高齢者は認知症。若年層ではうつ病や統合失調症といった病がネグレクトを引き起こしている可能性が高いと考えられています。
そのため精神科や心療内科を受診し、原因となる病を特定して治療を受けることも大切なことです。
生活環境の改善が、ネグレクト解消の一歩になることもあります。
家がゴミ屋敷化している場合は、まず環境から見直すことで精神的にも安定し、前向きな気持ちになれるかもしれません。
ネグレクトやセルフネグレクトは、本人だけで解決することはとても困難です。周囲の些細な気づきの意識やサポートによって、早期発見や対応ができるのではないでしょうか。
また、現在は様々なサービス(介護や家事代行、片付け等)を扱う業者も多く存在します。場合によっては、そのようなサービスの助けもかりながら、少しでも自他共に安全で健康な生活が送られたらと願います。
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